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2006年11月29日 (水)

『バスラの図書館員―イラクで本当にあった話』

先日、図書館の書棚でタイトルが目に留まりました。以前、新聞などで紹介されていて(2006年4月初版)、気になっている絵本でした。

バスラの図書館員―イラクで本当にあった話 Book バスラの図書館員―イラクで本当にあった話

著者:ジャネット・ウィンター,長田 弘
販売元:晶文社
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2003年4月6日、イラクへの侵攻はバスラに達しました。バスラの中央図書館の司書の責任者だったアリア・ムハンマド・バクルさんは、図書館の蔵書をまもろうとこころをくだき、友人たちと隣人たちの助けを借りて、蔵書の70%に当たる本を救いだしました。図書館が消失したのは、その9日後でした。(作者のおぼえがきより引用)

この絵本は、この出来事を報じたニューヨークタイムズの記事から生まれました。

戦火が迫り、わが身を守るだけで精一杯のような状況の中、「図書館の本には、わたしたちの歴史が全部つまっている」と、図書館の蔵書を守りぬいた人たちがいたことに感銘を受けました。戦争が終わったときに、自分たちの歴史を書いた本がないということがないように、未来を見据えた行動・・・。

絵だけを見ていると、戦争を描いているとは思えないような優しい筆致、色調です。が、その分、坦々と事実を伝える文章が、力強く心に響きました。

絵本の最後の方を引用すると

アリアさんは戦争が終わるというのぞみをすてません。

アリアさんはのぞみをすてず、平和なときがくると信じています。

     ・・・(中略)・・・

その時がくるまで、図書館の本はまもられています。バスラの図書館員の手で。

今なお、イラクでは内戦状態が続いているようですが、一日も早く平和が訪れ、バスラに図書館が再建されますように・・・・。

(この絵本の収益の一部は、全米図書館協会の基金を通じて、バスラの中央図書館の再建を助けるために使われるそうです。)

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コメント

この本、表紙だけ見たことあります・・
もっとちゃんと手にとって読んでおけば良かった(^^ゞ
図書及び図書館史のテキストに、図書館の歴史は
収集保存と略奪破壊の歴史である。図書を焼くような国は、滅びるのではないかと、後書きにありました。

なんだか考えさせられますね…

投稿: alice | 2006年11月29日 (水) 16時15分

aliceさん、こんばんは。
司書の鑑の様な方ですよね。

戦争でなくとも財政難の折から、司書の正規雇用を少なくしたり、図書購入費を削減したり、最近の自治体は図書を大事にしていないけど、あとで大きなしっぺ返しを受けるのかも・・・(-_-;)

投稿: めーべる | 2006年11月29日 (水) 20時49分

図書館の存在意義を問っているような本ですね。食べるものがなくてひもじい思いをしていても、本が心を満たしてくれるということは、これまで先人がよく言ってきたことです。
こういう形での反戦を訴える絵本というのも、胸迫るものがあるでしょうね。

投稿: まつりか | 2006年12月 2日 (土) 00時57分

まつりかさん、こんにちは。
食べ物はある方がいいけど、食べ物だけでは人は生きていけませんよね。
世界中の人が自由に本を読めたらどれだけいいでしょうか・・・。
直接わたしたちは何もできないけど、こうして関心を持つことも大切なことではないかと思います・・・。
ぜひ読んでみてください。

投稿: めーべる | 2006年12月 2日 (土) 16時56分

すごいですね
いつも思うのですが、戦争という極限の状態でも
こういう考えができて行動する人が後にわかりますよね
自分の命も危ないのに・・・なかなかできない事です
本の重要性を考えさせられます

今日、ちょっと本について記事を載せてみました
あつかましくも、めーべるさんのご意見を頂けたらなぁと思ってます

投稿: むいぽこ | 2006年12月 5日 (火) 08時01分

むいぽこさん、こんにちは。
りっぱな行動には頭が下がりますし、人を勇気づけ、考えさせますね。
最近なんでもちょっとしたことを絵本にしたがる風潮があっていやだったんですけど、この話はよくぞ絵本にしてくださった・・・という感じがします。
多くの人に読んでほしいです。

お声かけありがとうございます。後で伺いまーす。

投稿: めーべる | 2006年12月 5日 (火) 14時20分

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